瀬戸内寂聴さん大好きファンＳＨＯＰ

妙な話が多い

　1999年に出た単行本の文庫化。
　『今昔物語』から45篇を選び出して再話したもの。厳密な翻訳ではない。
　妙な話が多い。男女の物語、怪異譚、仏教説話など。いずれも素直ではない話である。予想もつかない展開があったり、意外な結末が待っていたり。登場人物の性格にしてもそうだ。こうした不思議さが面白い。
　瀬戸内氏の本は初めてだったが、平易な語り口には納得させられた。

目利きの寂聴さん、古代の説話を紹介する。

日本の代表的な説話集から、寂聴さんが「これは」と思った名作を選出・現代語訳した本です。彼女らしい、といいますか、男女関係やセックスをあつかったものが割合に多いのですが、仏教にまつわる説話もいくつか収録されており、どれも選択者のセンスが感じられる、おもしろい作品ばかりです。超能力者がでてくる話や、見知らぬ男女の間に子供が生まれる不思議な物語、はてはＳＭがそのまま描かれる一話まで、内容はとても豊富です。
あえていえば、星新一さんのショート・ショートに近いです。ただし、なにぶん千年以上前のお話ばかりなので、現代人からみて、結局なにがいいたかったのかが判然としない作品も、多少はあります。もっとも、「わかりやすく」するために小さくまとまってしまう現代の下手な小説よりも、長いあいだ生き残ってきたこれらの物語の方が、むしろ目新しくて楽しいのではないかと、思います。