釈迦 価格:¥ 1,995 納期:通常24時間以内に発送 人気ランキング : 126,974位 定価 : ¥ 1,995 販売元 : 新潮社 発売日 : 2002-11
■これは釈迦と彼を取り巻く人々の物語だ。瀬戸内寂聴は、波乱にとんだ釈迦の生涯を実に手際よくまとめた。深く豊かな文学的達成である。■紀元前のインド。80歳の釈迦が旅に出る。お伴は、25年間釈迦に付き添ってきたアーナンダ51歳。アーナンダによって、旅の途上の出来事と釈迦の生涯が語られてゆく。■シャカ族の王子として生まれた釈迦。彼は、29歳のとき妻子を捨て、家も王位も捨て、悟りを得るための旅に出る。36歳で悟りを開き、弟子が次々に増えた。後に我が子と弟を出家させる(さらにその後、継母も妻も出家し尼僧になる)。反逆者の出現や、苦しみ煩悶しながら死んでいった弟子達の思い出も語られる。■この旅で釈迦は命を落とす。純朴な鍛冶屋チュンダのもてなした食事に誤って毒キノコが入っていたのだ。死期の近いことを自覚した釈迦は、チュンダに背負われ、クシナーラーという地を目指す。そして、同地でアーナンダに最後の言葉を伝えた後、涅槃に入るのである。駆けつけた五百人の僧達によって荼毘に付される釈迦……。入滅に至る一連の描写は極めて美しい。■荘厳な輝きに満ちた書物。
■これは釈迦と彼を取り巻く人々の物語だ。瀬戸内寂聴は、波乱にとんだ釈迦の生涯を実に手際よくまとめた。深く豊かな文学的達成である。■紀元前のインド。80歳の釈迦が旅に出る。お伴は、25年間釈迦に付き添ってきたアーナンダ51歳。アーナンダによって、旅の途上の出来事と釈迦の生涯が語られてゆく。■荘厳な輝きに満ちた書物。
本書を読んで、やはり寂聴さんは所詮文学者だな、と思った。仏教の神髄がまるで見えていない。 煩悩に迷う人々との対照において釈尊を描こうとした意図は理解できるのだが、いかんせん、煩悩の世界ばかり生き生きと描かれて釈尊の悟りの世界がまるで浮かび上がってきていない。これは筆者に「体験」がないからであろう。人に説法している暇があったら修行すべし! 岩波文庫の「スッタニパータ」とか「ダンマパダ」、あるいは「ブッダ最後の旅」を読むことをおすすめする。
”人生は実に様々な色の糸で織りなされた大きな布のようだと思います。その糸がたっぷり吸っている涙の量によって布の輝きがますのでしょう。”このことばが悲しみの縁から私を救い更に一段高いところまで引き上げてくれたように思います。愛する人との別れ、渇愛というものが人間の苦悩の最たるものだと釈迦はいいます。死別、男女の別れ、卒業、それぞれ誰もが経験する避けられないものです。そのかわり多く苦しんだものほど聖なるものの愛を受けることが大きい。もしあなたに最近悲しいことがあったら読んでみて下さい。きっと救われ、癒されることでしょう。
「釈迦」という直接的なタイトルからは巷間多い釈迦の伝記であるとか思想的なことを解説した著作であろうとか想像しがちですがさすがに瀬戸内寂聴さんが書けばあたかも釈迦が私たちの身近にいたかのごとくに侍者のアーナンダ(阿難)の目を通して暖かい心で一杯の釈迦像を浮かび上がらせてくれます。そこにあるのはアーナンダがおそばで見た,かざりも何もない釈迦の姿です。釈迦の弟子や縁者たちの苦悩に満ちた心の叫びと釈迦の言葉。本当に苦しみ抜いたことがなければ書ききれない心理描写のすばらしさ。歴史に埋もれてしまい伝わりにくい,釈迦の人間味あふれる言動を見事に私たちに伝えつつ釈迦の最後の旅とともに実際にあったと伝えられるエピソードを題材に物語は進みます。釈迦!!!ブッダ)を別世界の特別な存在ではなく人間として見事に描写した名著です