源氏物語〈巻1〉 価格:¥ 1,365 納期:通常24時間以内に発送 人気ランキング : 39,643位 定価 : ¥ 1,365 販売元 : 講談社 発売日 : 2001-09
あまり期待しないでこの本を手にした。読み進んでいくうちに止められなくなって一気に読んでしまった。今までいろいろな人の訳に挑戦したが、最後まで根気が続かず、なかなか読めなかった。この本の巻末にその章のだいたいの内容がのせてあるので、それを読んでから、本章を読みはじめるとわかりやすい。今まで人間関係がいまいちよくわかっていなかったが、この本を読んで、頭の中がすっきり整理できた。当時の習慣もよく理解できて、わかりやすく良かった。次は、原文に挑戦したい。
その時代時代に優れた現代語訳はいくつもありましたが、たった数十年前の日本語でさへ現代人には読みづらいのが現実です。初心者が手にするにあたり瀬戸内さんの源氏物語の右にでるものはありません。恋人達の心の動きを知るうえで欠かすことのできない和歌のやりとりは物語中を通じ数えられないほどでてきます。瀬戸内さんの源氏物語の一番の魅力はこの膨大な数の和歌にもすべて現代語訳をつけてあることです。古典の知識を持ち合わせなくとも平安時代の壮大ロマン小説を楽しむことができるなんて素晴らしいと思います。
みなさんがおっしゃっているように原文に忠実(ほぼ直訳)なので、自分で文章と文章の間にあるものを読み取りたいと思っている方におすすめです。著者によって脚色、装飾された源氏物語ではありません。
様々な方がご指摘されているように、ストイックなまでに逐語訳されています。でも、私はこれを「原作の良さは原文で味わってね」と言っているのだと解釈しています。というのも、原文から喚起されるイメージを書き表したい、と躍り上がる筆を抑制しているような雰囲気が随所から感じられるからです。顕著な例が和歌(原文)の後の現代語訳です。地の文と対照的に、こちらはかなり意訳されていますが、詠んだ登場人物の心情が生き生きと伝わってくるような訳で、しかもこのまま歌の歌詞になりそうなリズムまで付いているのです。原文に忠実な地の文と、主人公たちの息づかいまで感じられるような歌の訳、おそらく訳者は源氏物語の伝道師に徹しようとしているのではないだろうか、そんなことを伺わせる訳になっていると思います。
地の文が、ストイックなほど逐語訳になっています。原文から訳者が触発され、ともすると躍り出しそうになる筆を抑制した結果として、私は好意的に受け取っています。その抑制されたエネルギーがほどよく噴出しているのが、和歌(原文)の後に添えられた現代語訳。これはかなり意訳されていますが、歌に込められた登場人物の思いがわかりやすく噛み砕かれて、しかもこのまま演歌の歌詞になりそうなリズムがあります。